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ペンフレンドまたはペンパル

昔、ペンフレンドやペンパルが流行った時代がありました。まだインターネットもメールもない、手紙だけが世界とつながる窓だった頃のことです。

私には中学生から高校生までの数年間、アメリカ・ロードアイランド州に住むSandyというペンパルがいました。

山川中学時代、英語の成績は赤点の常連。自分の力で英文を書くなど到底できるはずもなく、徳島駅前の小山書店で「ペンパル英語」の虎の巻を買い込み、ほとんど丸写しで手紙を書いていました。届いた手紙を読むときは、辞書を片手に一語一語を追いかける。時間はかかりましたが、異国の空気が封筒の中から立ちのぼってくるようで、胸が少し高鳴ったものです。部活のこと、進学のこと、ささやかな日常――拙い英語であれこれ綴っていたことを、今もぼんやり覚えています。

やがて脇町高校に進学し、大学受験という慌ただしい毎日に追われるうちに、文通は少しずつ間遠になり、いつの間にか途絶えてしまいました。特別な別れの言葉もなく、静かにページが閉じられるように終わってしまったのです。

それから年月が流れ、不思議な縁で私はアメリカ系の外資企業に勤めることになりました。ニューヨークのホテルの窓から北の方角を眺めたとき、「あの先にロードアイランドがあるのだな」と、ふと遠い記憶がよみがえりました。Sandyと生涯会うことはありませんでしたが、遠い異国に親しみを抱く心の種をまいてくれたのは、あの頃の文通だったのだと思います。

封筒に貼った切手、青いインクの文字、辞書の匂い。小さなやり取りでしたが、あの時間は確かに、私の世界を静かに広げてくれていました。

 

投稿:                              梯 哲雄(高25回)

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コメント: 3
  • #1

    真鍋 恵吾 (月曜日, 23 2月 2026 20:35)

    お話が素敵過ぎて引き込まれてしまいました。
    大切な思い出話をお聞かせいただきありがとうございました。

  • #2

    森 淳子 (水曜日, 25 2月 2026 17:40)

    私も経験あります。少女雑誌にペンフレンドコーナーがあって同学年の男の子にハラハラドキドキしながら書いた思い出があります。
    すぐ終わりましたが、世間知らずな田舎っぺ娘がよくも思い切ったことしたなと今でもあの時のドキドキ感は忘れられません。
    それにしても梯さんの場合、アメリカに行った折、せっかくの機会でしたのに出会ってほしかったです。これがドラマや映画なら再会したことでしょうね(^^)

  • #3

    川口 倫代 (水曜日, 25 2月 2026 21:27)

    素敵ですね!
    フェイスブックなどで検索すればお相手の手掛かりが見つかるかも。続編を勝手に期待してしまうくらい素敵なお話 ありがとうございます♪