30代の頃、私はアメリカ東部のデラウェア州の片田舎に、ほんの短い間ですが暮らしていました。そのときの光景は、今でも心に深く残っています。
ちょうど初夏の頃。夕暮れが訪れると、家の前の芝生から、ぽつり、ぽつりと小さな光が湧き上がってきました。やがてその数は増え、光はまとまりながらゆっくりと宙へと昇っていきます。深夜が近づく頃には、庭の木々の上あたりまで舞い上がり、あたり一面を埋め尽くすように乱舞します。そして夜更けには、まるで何事もなかったかのように、再び地面へと帰っていくのです。
それは、アメリカに棲む陸生の蛍でした。子どもの頃、日本で見ていたゲンジボタルは、水辺の清らかな小川に生きるもの。芝生や草むらに棲む蛍がいるという事実に、私は小さな驚きを覚えました。
さらに夜、車を走らせて町へ出ると、景色は一変します。小さな町全体が蛍の光に包まれ、まるで夢の中に迷い込んだかのような幻想的な世界が広がっていました。
いま暮らす場所では、あのような蛍の乱舞を見ることは叶いません。それでも初夏になると、ふと幼い日の記憶がよみがえります。家のそばの小川はまだ護岸もされておらず、「ほー、ほー、ほたる来い」と歌いながら蛍を捕まえ、蚊帳の中に放して、眠りにつくまでその淡い光を眺めていた――そんな懐かしい日々を思い出します。
投稿: 梯 哲雄(高25回)

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森 淳子 (木曜日, 23 4月 2026 23:29)
なんて美しい幻想的な光景でしょう。それを実際に見たなんて羨ましい限りです。
私も子供の頃蚊帳の中にホタルを入れた経験があります。
貴重な思い出話ありがとうございます。
梯 哲雄 (金曜日, 24 4月 2026 10:47)
関ケ原の蛍が見事だと現地の人に聞いたことがあります。蛍狩りの夕べ、というツアーを企画しても良いですね。昼間は関ケ原古戦場を巡り、夜は蛍狩り。帰りは京都祇園でどんちゃん騒ぎ。
真鍋 恵吾 (金曜日, 24 4月 2026 13:39)
幼い頃に蛍を観たことも、最近は蛍を観ることも忘れてました。
今年は蛍を観に出掛けてみます!
川口倫代 (金曜日, 24 4月 2026 14:47)
私は毎年6月にお墓参りの為帰省しています。父や祖父の命日がある為ですが、最近は日にちを山川町美里の蛍鑑賞に合わせています。生前両親から、美里の蛍は凄いよ!っと教えられていましたが結局見られたのは6月の父親の法事の時。父が蛍に合わせてくれている気がして今年も見に行きます。でも段々と蛍の乱舞が少なくなっているのが残念です。
梯 哲雄 (金曜日, 24 4月 2026 17:00)
確かに蛍の乱舞が季節の風物詩のように当たり前だったのは昭和30年ごろまでですか。田んぼに除草剤を使うようになって、いろんな虫が消えてしまったですね。